2009年 06月 29日
テレビドラマ |
日本最初の民放テレビ局は名古屋のCBC(中部日本放送)で、今年で開局58年になりますが、先週二夜連続でテレビ朝日の開局50周年記念ドラマ「刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史」はとても面白かったですね。
主演の渡辺謙以下見事なキャスティングに、久しぶりに唸ってしまう作りで見応えがありました。その後、録画を何度も見てますが、ちょっとした脇役がじつにしっくりきてて、「テレビで大人のドラマが見たい。」という日頃の鬱憤を晴らすかたちになりました。
まあ、実際の平塚八兵衛という刑事はドラマに描かれた程いい刑事だったかは疑問もありますが、ひとつのドラマとしては十分に楽しめました。
■「人間」が変わった
八兵衛が三億円事件の捜査に加わった折り、同僚の刑事に言われた一言。泥沼化する三億円事件以上に八兵衛自身が喘ぐ事になる発端でした。
「だから、その「人間」が変わったんです。」
このドラマの最大の見所は「吉展ちゃん誘拐事件」です。犯人・小原 保(たもつ)が犯行を否定し続けたのは、これ以上心配を掛けたくなかった母への想いからでした・・・。地取り捜査の折り、保の母・トクの雨の中の土下座哀願シーンは、母役の岩崎加根子の熱演がひかった名場面でしたね。
その後、自供した保は八兵衛の差し入れたナスの漬け物を食べながらこう言います。
「昨日、おふくろから手紙が届きました。
早く罪さ償えって、
先に地獄さ行って待ってるって、書いてありました・・・」
日本中のそこかしこの在る情緒や面影の中に、それぞれの心のヒダが触れ合えた時代、貧しくとも生きる上で大切な物事がそれぞれの中に共通してあった時代だったからこそ、保は自供できた。そこには犯罪を犯してしまった悲しみと、どこかにまだ罪の意識があったからでしょう。
しかし、この遥か前に日本の情緒を愛し面影を綴った小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は以下のような言葉を残しているそうです。
「この国の住人は妖精の子孫だ。
しかし、この国の製品が欧米を超える頃には、
この国の妖精たちは姿を消し、
日本人によく似た西洋人ばかりになる。」
奇しくもこの予言は当たる事になって、村上世彰やホリエモンのように拝金主義を助長し、挙げ句、犯罪を犯す悲しみと罪の意識のない犯罪が増えてきたのを私達は目の当たりにするのです。
このドラマの最後で八兵衛は刑が執行され、田舎に眠る保の墓前を参りますが、母が眠る墓には入れてもらえず、こんもりと脇にある土塊に花を添え、ひとしきり泣く姿は、現代の感覚からは理解しにくいかもしれません。
罪を犯してしまった悲しみや罪の意識が少なからずわかるからこその慟哭(どうこく)だったのではないか。そんなふうに感じながら見ていました。
しかし、こんなテレビドラマがもっと見たいものです。
因に、他にも同僚刑事役の高橋克美、保役の荻原正人、保の兄嫁役の女優(名前が判りません・失礼!)などなど、素晴らしいキャスッティングと演技でしたね。個人的には妻役の原田美枝子が海岸で見せる表情がなんとも素晴らしかった!いいドラマでした。
主演の渡辺謙以下見事なキャスティングに、久しぶりに唸ってしまう作りで見応えがありました。その後、録画を何度も見てますが、ちょっとした脇役がじつにしっくりきてて、「テレビで大人のドラマが見たい。」という日頃の鬱憤を晴らすかたちになりました。
まあ、実際の平塚八兵衛という刑事はドラマに描かれた程いい刑事だったかは疑問もありますが、ひとつのドラマとしては十分に楽しめました。
■「人間」が変わった
八兵衛が三億円事件の捜査に加わった折り、同僚の刑事に言われた一言。泥沼化する三億円事件以上に八兵衛自身が喘ぐ事になる発端でした。
「だから、その「人間」が変わったんです。」
このドラマの最大の見所は「吉展ちゃん誘拐事件」です。犯人・小原 保(たもつ)が犯行を否定し続けたのは、これ以上心配を掛けたくなかった母への想いからでした・・・。地取り捜査の折り、保の母・トクの雨の中の土下座哀願シーンは、母役の岩崎加根子の熱演がひかった名場面でしたね。
その後、自供した保は八兵衛の差し入れたナスの漬け物を食べながらこう言います。
「昨日、おふくろから手紙が届きました。
早く罪さ償えって、
先に地獄さ行って待ってるって、書いてありました・・・」
日本中のそこかしこの在る情緒や面影の中に、それぞれの心のヒダが触れ合えた時代、貧しくとも生きる上で大切な物事がそれぞれの中に共通してあった時代だったからこそ、保は自供できた。そこには犯罪を犯してしまった悲しみと、どこかにまだ罪の意識があったからでしょう。
しかし、この遥か前に日本の情緒を愛し面影を綴った小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は以下のような言葉を残しているそうです。
「この国の住人は妖精の子孫だ。
しかし、この国の製品が欧米を超える頃には、
この国の妖精たちは姿を消し、
日本人によく似た西洋人ばかりになる。」
奇しくもこの予言は当たる事になって、村上世彰やホリエモンのように拝金主義を助長し、挙げ句、犯罪を犯す悲しみと罪の意識のない犯罪が増えてきたのを私達は目の当たりにするのです。
このドラマの最後で八兵衛は刑が執行され、田舎に眠る保の墓前を参りますが、母が眠る墓には入れてもらえず、こんもりと脇にある土塊に花を添え、ひとしきり泣く姿は、現代の感覚からは理解しにくいかもしれません。
罪を犯してしまった悲しみや罪の意識が少なからずわかるからこその慟哭(どうこく)だったのではないか。そんなふうに感じながら見ていました。
しかし、こんなテレビドラマがもっと見たいものです。
因に、他にも同僚刑事役の高橋克美、保役の荻原正人、保の兄嫁役の女優(名前が判りません・失礼!)などなど、素晴らしいキャスッティングと演技でしたね。個人的には妻役の原田美枝子が海岸で見せる表情がなんとも素晴らしかった!いいドラマでした。
by DEPTH-TRUCT
| 2009-06-29 23:03
| 雑 記