2009年 11月 23日
インタビュー |
先週の始め、アメリカに居る大学の友人から突然メールが届いた。どうやら、高校生の娘さんの学校のプロジェクトで、Architechtureについてインタビューしなくてはいけなくて、白羽の矢が私に当たったという訳です。
こんな私で良ければと返事をし、本当は英語で返答した方が良かったのでしょうか、それほどの英語力がないのと時間もないので、娘さんからの質問には『日本語』で回答させてもらいました。(笑)
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1.あなたの肩書きは、何ですか?
Architect・建築家です。
デプストラクトという名前の建築設計事務所を経営しています。
2.あなたの職務内容説明書は、何ですか?
または、具体的にどういう仕事をしていますか?
アメリカで言う「Job Description」に該当するものが日本にはありません。職務内容やその責任、行政へ報告する義務などは国家資格によって決められており、私は「一級建築士」という国家資格を取得しています。
因みに日本の建築士制度は以下のように分類されています。
・一級建築士
・二級建築士
・木造建築士
一級建築士は、ほぼすべての建築物を設計する資格が認められ、具体的にはデザインや構造・設備など全般を取りまとめる仕事をしています。
以下は一般的な住宅規模の業務内容と流れです。
■基本計画
・相談受付
・計画概要・要望のヒアリング
・敷地調査・役所調査
・初期プレゼンテーション
■基本設計(3ヶ月〜)
・建築士業務委託契約
・基本プランの検討
(デザイン・構造・設備・施工方法・植栽他)
・役所事前協議(法チェック)
■実施設計(4ヶ月〜)
・詳細プランの検討
(デザイン・構造・設備・施工方法・植栽他)
・役所事前協議(法チェック)
・本見積図面の作成
・施工業者に本見積を依頼
・本見積の金額調整
・予算内の仕様変更検討
・工事業者&契約金額の決定
・建築確認申請手続き
■施工監理6ヶ月〜)
・工事契約
・地鎮祭
・建築工事・現場監理
・材料や機器、詳細などの最終確認&決定
・役所中間検査申請&対応
・事務所検査
・役所完了検査申請&対応
・完成・引き渡し
■その他
・アフターフォロー(1年検査など)
詳しくは以下URLを参照ください。
http://depthtruct.exblog.jp/i14/
3.あなたは、どれくらいの学校教育/トレーニングを
この位置のために必要としましたか?
学校教育:6年
社会トレーニング:15年
独立は38歳です。早い人は20代後半から、遅い人は定年後という方もいます。独立する時期はタイミングや自分の職歴、廻りの環境などにより、自分で判断するものと考えています。
4.あなたは、どのような学校に行きましたか?
高校:工業高校3年中、建築科(専攻課程)2年
大学:理工学部建築科 4年
5.あなたは何を専攻し、研究しましたか?
専攻は意匠(デザイン)です。音楽と建築に共通する『空間』がテーマでした。しかし、構造や設備、法規、建築史、施工(工事の仕方)や材料などを学び、社会に出てからも、日々進歩する技術や、古い工法などの再認識、日本文化などに強く興味を魅(ひ)かれ、学ぶ事は尽きません。
6.あなたは、この仕事のどこに興味があったのですか?
中学の頃、借家に暮らしてて父が材木関係の仕事をしていたので『家』というものに興味があったのと、何かモノを創ることが好きだったからです。
7.あなたは、この仕事の何が好きですか?
お客様の想いと、これから計画するであろう土地や廻りの環境などを観ながら、その時間や空間に想いを馳せてイメージを膨らませ、多くの人と力を合わせながら次第に形作ることはじつに楽しいと感じます。
また、その建物は我々人間より遥かに大きいのに、遠く離れてもある時フと心の中にあって、風景やシーンとして思い出せることも好きなところです。
8.あなたは、この仕事の何が嫌いですか?
嫌いという程ではないけれど、直接お客様から依頼を受けて仕事をするので建物を建てる土地がなかなか選べないことでしょうか。
本当は景色のいいところや、広大な敷地、森の中、入り江の水際、小川の近くなど、建ててみたい場所はいっぱいあります。
9.もし違う道を選らんでいたとすれば、何をしていましたか?
「旅人」として様々な人や文化、その土地の持つ記憶に触れながら暮らせたら、そんな道を選んだのかもしれません。
10.あなたの会社は、新入社員を雇う際に、何を重要視しますか?
私には所員はいませんが、もし雇うならば以下の点を特に重要視したいです。
・挨拶ができる。
・人や物事とコミュニケートする姿勢がある。
・建築が好きである。
11.初任給/賃金は、いくらですか?
私の初任給 は、1983年当時の一般の大卒男子平均が約13万円程度の時代に約10万ほどでした。2008年で一般の大卒男子平均が約20万円程度だそうですが、大手の建築設計事務所以外では、とてもそこまで出せないのが実情です。
12.この仕事について最も難しい部分は、何ですか?
「既製品を買っていただくのではなく、
現実化していないものにお金を払っていただくこと。」
もちろん詳しい説明をしますが、現地生産のオリジナルであるため、気を使うところでもあります。
「創ったモノが残ること。」
これは楽しく嬉しい部分でもあるけれど、同時に怖いことでもあります。
13.あなたは同様の仕事に興味を持っている高校生のために
どんなアドバイスを持っていますか?
様々な「人・モノ・事」に広く興味を持つことと、それを共有し楽しむ姿勢は建築や人生に大いに役立ち、豊かにしてくれると思います。
14.あなたは、この仕事についてどんな将来像を見ていますか?
昨年からの不況で世界の価値観は一部で少しづつ変わってくるでしょう。建築を取り巻く世界も、いままでは経済性に大きく影響を受けていましたが、もっともっと日々の生活に根ざした視点や、「豊かさ」の本質からの追求、歴史や文化に根ざした自分達のアイデンティティーからの視点が重要視されてくるでしょう。
その安心感にも似た心地の良さを模索する時に必要になるのがArchitect・建築家だと私は考えています。
建築は社会や人生に欠かす事のできない分野です。それはこれからも変わらないでしょうし、私はこれからより一層、仕事を楽しめるのではないかと考えています。
以上
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私には子供が居ないので、ある意味とっても貴重な経験でした。今回のインタビューが役に立って、彼女や建築にクラスメートが興味を持ってくれたら本当に嬉しいです。
高校生の彼女には、時間もたくさんあるので、興味のあるものやそうでないものも、いっぱい学んで心の中に入れて欲しいです。いつかきっと、それが役立つ時が来るでしょう。頑張ってほしいですね!
とても貴重な経験をくれた友人のK君と娘のEちゃん、ありがとう!!
こんな私で良ければと返事をし、本当は英語で返答した方が良かったのでしょうか、それほどの英語力がないのと時間もないので、娘さんからの質問には『日本語』で回答させてもらいました。(笑)
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1.あなたの肩書きは、何ですか?
Architect・建築家です。
デプストラクトという名前の建築設計事務所を経営しています。
2.あなたの職務内容説明書は、何ですか?
または、具体的にどういう仕事をしていますか?
アメリカで言う「Job Description」に該当するものが日本にはありません。職務内容やその責任、行政へ報告する義務などは国家資格によって決められており、私は「一級建築士」という国家資格を取得しています。
因みに日本の建築士制度は以下のように分類されています。
・一級建築士
・二級建築士
・木造建築士
一級建築士は、ほぼすべての建築物を設計する資格が認められ、具体的にはデザインや構造・設備など全般を取りまとめる仕事をしています。
以下は一般的な住宅規模の業務内容と流れです。
■基本計画
・相談受付
・計画概要・要望のヒアリング
・敷地調査・役所調査
・初期プレゼンテーション
■基本設計(3ヶ月〜)
・建築士業務委託契約
・基本プランの検討
(デザイン・構造・設備・施工方法・植栽他)
・役所事前協議(法チェック)
■実施設計(4ヶ月〜)
・詳細プランの検討
(デザイン・構造・設備・施工方法・植栽他)
・役所事前協議(法チェック)
・本見積図面の作成
・施工業者に本見積を依頼
・本見積の金額調整
・予算内の仕様変更検討
・工事業者&契約金額の決定
・建築確認申請手続き
■施工監理6ヶ月〜)
・工事契約
・地鎮祭
・建築工事・現場監理
・材料や機器、詳細などの最終確認&決定
・役所中間検査申請&対応
・事務所検査
・役所完了検査申請&対応
・完成・引き渡し
■その他
・アフターフォロー(1年検査など)
詳しくは以下URLを参照ください。
http://depthtruct.exblog.jp/i14/
3.あなたは、どれくらいの学校教育/トレーニングを
この位置のために必要としましたか?
学校教育:6年
社会トレーニング:15年
独立は38歳です。早い人は20代後半から、遅い人は定年後という方もいます。独立する時期はタイミングや自分の職歴、廻りの環境などにより、自分で判断するものと考えています。
4.あなたは、どのような学校に行きましたか?
高校:工業高校3年中、建築科(専攻課程)2年
大学:理工学部建築科 4年
5.あなたは何を専攻し、研究しましたか?
専攻は意匠(デザイン)です。音楽と建築に共通する『空間』がテーマでした。しかし、構造や設備、法規、建築史、施工(工事の仕方)や材料などを学び、社会に出てからも、日々進歩する技術や、古い工法などの再認識、日本文化などに強く興味を魅(ひ)かれ、学ぶ事は尽きません。
6.あなたは、この仕事のどこに興味があったのですか?
中学の頃、借家に暮らしてて父が材木関係の仕事をしていたので『家』というものに興味があったのと、何かモノを創ることが好きだったからです。
7.あなたは、この仕事の何が好きですか?
お客様の想いと、これから計画するであろう土地や廻りの環境などを観ながら、その時間や空間に想いを馳せてイメージを膨らませ、多くの人と力を合わせながら次第に形作ることはじつに楽しいと感じます。
また、その建物は我々人間より遥かに大きいのに、遠く離れてもある時フと心の中にあって、風景やシーンとして思い出せることも好きなところです。
8.あなたは、この仕事の何が嫌いですか?
嫌いという程ではないけれど、直接お客様から依頼を受けて仕事をするので建物を建てる土地がなかなか選べないことでしょうか。
本当は景色のいいところや、広大な敷地、森の中、入り江の水際、小川の近くなど、建ててみたい場所はいっぱいあります。
9.もし違う道を選らんでいたとすれば、何をしていましたか?
「旅人」として様々な人や文化、その土地の持つ記憶に触れながら暮らせたら、そんな道を選んだのかもしれません。
10.あなたの会社は、新入社員を雇う際に、何を重要視しますか?
私には所員はいませんが、もし雇うならば以下の点を特に重要視したいです。
・挨拶ができる。
・人や物事とコミュニケートする姿勢がある。
・建築が好きである。
11.初任給/賃金は、いくらですか?
私の初任給 は、1983年当時の一般の大卒男子平均が約13万円程度の時代に約10万ほどでした。2008年で一般の大卒男子平均が約20万円程度だそうですが、大手の建築設計事務所以外では、とてもそこまで出せないのが実情です。
12.この仕事について最も難しい部分は、何ですか?
「既製品を買っていただくのではなく、
現実化していないものにお金を払っていただくこと。」
もちろん詳しい説明をしますが、現地生産のオリジナルであるため、気を使うところでもあります。
「創ったモノが残ること。」
これは楽しく嬉しい部分でもあるけれど、同時に怖いことでもあります。
13.あなたは同様の仕事に興味を持っている高校生のために
どんなアドバイスを持っていますか?
様々な「人・モノ・事」に広く興味を持つことと、それを共有し楽しむ姿勢は建築や人生に大いに役立ち、豊かにしてくれると思います。
14.あなたは、この仕事についてどんな将来像を見ていますか?
昨年からの不況で世界の価値観は一部で少しづつ変わってくるでしょう。建築を取り巻く世界も、いままでは経済性に大きく影響を受けていましたが、もっともっと日々の生活に根ざした視点や、「豊かさ」の本質からの追求、歴史や文化に根ざした自分達のアイデンティティーからの視点が重要視されてくるでしょう。
その安心感にも似た心地の良さを模索する時に必要になるのがArchitect・建築家だと私は考えています。
建築は社会や人生に欠かす事のできない分野です。それはこれからも変わらないでしょうし、私はこれからより一層、仕事を楽しめるのではないかと考えています。
以上
-------------------------
私には子供が居ないので、ある意味とっても貴重な経験でした。今回のインタビューが役に立って、彼女や建築にクラスメートが興味を持ってくれたら本当に嬉しいです。
高校生の彼女には、時間もたくさんあるので、興味のあるものやそうでないものも、いっぱい学んで心の中に入れて欲しいです。いつかきっと、それが役立つ時が来るでしょう。頑張ってほしいですね!
とても貴重な経験をくれた友人のK君と娘のEちゃん、ありがとう!!
by DEPTH-TRUCT
| 2009-11-23 11:29
| 建築雑記