2007年 01月 31日
男の妄想?〜「愛の流刑地」 |
最近話題の小説家の渡辺淳一さんが、先日テレビで「不倫の方が、(愛が)純粋。」と言うような事を言っていましたが、じつは私はそうは思わないのです。
確かにそこだけを見れば”純粋”見えるのかもしれませんが、それのみが「愛」でない事は、私の先の記事「愛おしい風景」(2007/1/18付)でも述べた通りです。他から見れば十分に”不純”なのです。
ですから、以前は”秘め事”だったはず…。世間に知られていないからこそ”純粋性を保てた”のであって、あからさまになっては、もはや”純粋性”は保てないのです。
ただ、それでも話題の映画「愛の流刑地」は観てきました。
■遠く及ばない?
映画としてはそれなりに面白いのですが、どうも渡辺氏の設定に無理があるように思います。情事の絶頂で死を懇願する冬香。果たして菊治は彼女の覚悟をその時汲んでいたのか?・・・映画を観ると明らかに”事故”だったと言えるでしょう。それは、菊治が最後に彼女の覚悟に気づく事からも明らかです。
だから、菊治が思わず「あなたは、死にたくなるほど人を愛した事があるんですか!」と叫ぶ言葉に、私はいまひとつ素直になれなかったのです。それは彼女の死の覚悟を理解していないと出てこないと思うからです。
二人の関係に”せつなさ”が稀薄なのはそのためであり、まして、二人の純粋性のまま”心中という狂気”には走らず、冬香の”自己愛”のみが透けて見えてくる。
どうせなら、二人覚悟して心中したけど、菊治だけが生き残ってしまったとしたら、随分面白い物語になっていたように思うのですが・・・。
まあ、名作「近松心中物語」には遠く及ばないようですね。
■お目当て
ただ、細切れに観ると随分面白く、特に冬香を演じた”寺島しのぶ”の演技には脱帽ですね。表情や所作、清楚から狂気への様など、ため息が出るほど・・・。
当初映画化にあたり、渡辺氏の描いていた”鈴木京香”や、”石田ゆり子”では、清楚から狂気へのあの振幅の深さは表現できなかったでしょうね。
また、「私だって首を締めて殺して欲しかったのに」と、不倫相手の上司を睨み、”女”を検察官という職で隠す織部(長谷川京子)の存在は、この物語で非常によく効いたスパイスになっていました。映画を観ている者の目としての織部の存在なくして、物語全体の奥行きは出なかったでしょう。
*********
今回、私は物語には共感できませんでしたが、キャスティングも良く、お目当ての寺島しのぶさんの良さも感じられたので、とりあえず満足しました。でも、私の廻りの女性には今一つ人気がありません。それは映画と言うより、どうも原作者の渡辺淳一氏に対するもののようです。
「愛の流刑地」が連載されてから、日経新聞は販売部数がかなり伸びたようですから、やっぱりこの物語は所詮、男の妄想なのかもしれませんね。
確かにそこだけを見れば”純粋”見えるのかもしれませんが、それのみが「愛」でない事は、私の先の記事「愛おしい風景」(2007/1/18付)でも述べた通りです。他から見れば十分に”不純”なのです。
ですから、以前は”秘め事”だったはず…。世間に知られていないからこそ”純粋性を保てた”のであって、あからさまになっては、もはや”純粋性”は保てないのです。
ただ、それでも話題の映画「愛の流刑地」は観てきました。
■遠く及ばない?
映画としてはそれなりに面白いのですが、どうも渡辺氏の設定に無理があるように思います。情事の絶頂で死を懇願する冬香。果たして菊治は彼女の覚悟をその時汲んでいたのか?・・・映画を観ると明らかに”事故”だったと言えるでしょう。それは、菊治が最後に彼女の覚悟に気づく事からも明らかです。
だから、菊治が思わず「あなたは、死にたくなるほど人を愛した事があるんですか!」と叫ぶ言葉に、私はいまひとつ素直になれなかったのです。それは彼女の死の覚悟を理解していないと出てこないと思うからです。
二人の関係に”せつなさ”が稀薄なのはそのためであり、まして、二人の純粋性のまま”心中という狂気”には走らず、冬香の”自己愛”のみが透けて見えてくる。
どうせなら、二人覚悟して心中したけど、菊治だけが生き残ってしまったとしたら、随分面白い物語になっていたように思うのですが・・・。
まあ、名作「近松心中物語」には遠く及ばないようですね。
■お目当て
ただ、細切れに観ると随分面白く、特に冬香を演じた”寺島しのぶ”の演技には脱帽ですね。表情や所作、清楚から狂気への様など、ため息が出るほど・・・。
当初映画化にあたり、渡辺氏の描いていた”鈴木京香”や、”石田ゆり子”では、清楚から狂気へのあの振幅の深さは表現できなかったでしょうね。
また、「私だって首を締めて殺して欲しかったのに」と、不倫相手の上司を睨み、”女”を検察官という職で隠す織部(長谷川京子)の存在は、この物語で非常によく効いたスパイスになっていました。映画を観ている者の目としての織部の存在なくして、物語全体の奥行きは出なかったでしょう。
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今回、私は物語には共感できませんでしたが、キャスティングも良く、お目当ての寺島しのぶさんの良さも感じられたので、とりあえず満足しました。でも、私の廻りの女性には今一つ人気がありません。それは映画と言うより、どうも原作者の渡辺淳一氏に対するもののようです。
「愛の流刑地」が連載されてから、日経新聞は販売部数がかなり伸びたようですから、やっぱりこの物語は所詮、男の妄想なのかもしれませんね。
by DEPTH-TRUCT
| 2007-01-31 01:32
| 雑 記