2008年 01月 25日
改正? |
昨年6月の建築基準法改正は、未だに多くの問題を孕んだまま業界は深刻な不況に喘いでいます。25日の衆院予算委員会で、民主党の 前原誠司氏は「これは人災であり、官製不況だ」といい、福田康夫首相は「産業界や皆さんに大変ご迷惑をかけた。」と陳謝しましたが、この混乱は、まだまだ続きそうです。
■ 既存不適格
先日、町工場の増築の相談を受けましたが、既存建物面積より大きな増築面積なので、一体化して「ひとつの建物」として建てられません。既存建物が「既存不適格」であるために、現行法規に対応させなければならないからです。
もちろん、対応させるために補強は可能ですが、基礎を掘り返し、建物全体をジャッキアップしての施工など、町工場には不可能です‥‥‥。
行政に確認すると、同じような町工場などの増築問題の相談はかなり多いそうで、改正後の現行法規ではどうしようもなく、結局「別棟」でしか建てられません。
上記の既存工場では「築3年のほぼ新築」と言ってもよい状態で「既存不適格」です。もっと言えば、昨年の6月20日以前に確認申請が降り、現在売り出しているマンションなどは全て「買った時点で既存不適格」になってしまいます。これは大きな問題です。
■ コンプライアンス
行政サイドは一刻も早く「安心で安全な建物」を増やす事を目的に「既存不適格」を無闇に増やすのでしょうが、それが為に身動きが取れないのが民間サイドである現場の悲しい現状でもあります。
また、上記町工場で言えば、新築部分で既存部分を構造的に持たせる事は、現実可能と構造設計者は言います。
現場をよく見ない行政の判断は、コンプライアンス(法の厳守)が、叫ばれている昨今にあって、返って「違反建築物」を増やす結果になりやすく、しかも「違反者」をつくりやすいという意味でも、かなり問題があると言わざるを得ないのが辛い。
■ 日々の生活の中
基本的に「安心で安全な建物」を造ろうと言う基本的な指向はとても素晴らしく、我々も目指すものですが、がんじがらめに厳しい規制は返って安心が保ちにくい場合があり、深刻なのは、石川や新潟の地震の後、なかなか住まいが再建できずに復興が進まない現状を見るにつけ、痛感させられます。
ならば、この地震が大都会で起きた後、復興されないままの住まいの問題は、今まで以上に深刻な問題として浮上するのは明白である以上、もっと柔軟な対応がやはり求められてくるでしょう。
その柔軟性は、法律のみならず建築を取り巻くシステムそのものにも及ばざるを得ないのではないか。地震などの甚大な被害が多い我が国では、壊れても人命を奪わず、再建しやすいシステムの構築こそが重要性を増してくると考えます。そのためには建築産業に経済を牽引させる構造を変える必要がありますが…なかなか難しい。
「建築は建築だけでできていない。」
住まいや都市も日々の生活の中にあるはずですが、昨年の法改正はどうも「日々の生活の中」という観点がかなり弱かったのではないか。そんなふうに思えて仕方ありません。
■ 既存不適格
先日、町工場の増築の相談を受けましたが、既存建物面積より大きな増築面積なので、一体化して「ひとつの建物」として建てられません。既存建物が「既存不適格」であるために、現行法規に対応させなければならないからです。
もちろん、対応させるために補強は可能ですが、基礎を掘り返し、建物全体をジャッキアップしての施工など、町工場には不可能です‥‥‥。
行政に確認すると、同じような町工場などの増築問題の相談はかなり多いそうで、改正後の現行法規ではどうしようもなく、結局「別棟」でしか建てられません。
上記の既存工場では「築3年のほぼ新築」と言ってもよい状態で「既存不適格」です。もっと言えば、昨年の6月20日以前に確認申請が降り、現在売り出しているマンションなどは全て「買った時点で既存不適格」になってしまいます。これは大きな問題です。
■ コンプライアンス
行政サイドは一刻も早く「安心で安全な建物」を増やす事を目的に「既存不適格」を無闇に増やすのでしょうが、それが為に身動きが取れないのが民間サイドである現場の悲しい現状でもあります。
また、上記町工場で言えば、新築部分で既存部分を構造的に持たせる事は、現実可能と構造設計者は言います。
現場をよく見ない行政の判断は、コンプライアンス(法の厳守)が、叫ばれている昨今にあって、返って「違反建築物」を増やす結果になりやすく、しかも「違反者」をつくりやすいという意味でも、かなり問題があると言わざるを得ないのが辛い。
■ 日々の生活の中
基本的に「安心で安全な建物」を造ろうと言う基本的な指向はとても素晴らしく、我々も目指すものですが、がんじがらめに厳しい規制は返って安心が保ちにくい場合があり、深刻なのは、石川や新潟の地震の後、なかなか住まいが再建できずに復興が進まない現状を見るにつけ、痛感させられます。
ならば、この地震が大都会で起きた後、復興されないままの住まいの問題は、今まで以上に深刻な問題として浮上するのは明白である以上、もっと柔軟な対応がやはり求められてくるでしょう。
その柔軟性は、法律のみならず建築を取り巻くシステムそのものにも及ばざるを得ないのではないか。地震などの甚大な被害が多い我が国では、壊れても人命を奪わず、再建しやすいシステムの構築こそが重要性を増してくると考えます。そのためには建築産業に経済を牽引させる構造を変える必要がありますが…なかなか難しい。
「建築は建築だけでできていない。」
住まいや都市も日々の生活の中にあるはずですが、昨年の法改正はどうも「日々の生活の中」という観点がかなり弱かったのではないか。そんなふうに思えて仕方ありません。
by DEPTH-TRUCT
| 2008-01-25 23:27
| 建築雑記